第8回講演会

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第8回「日本テスト学会賞」記念講演会およびワークショップ
開催報告

研究会担当理事:服部 環(法政大学)
前川眞一(東京工業大学)

今回の記念講演会は、12月21日(日曜日)の午後1時30分から、法政大学市ヶ谷キャンパス外濠校舎S306教室で開催されました。

前半の部では、8月に帝京大学(八王子キャンパス)で開催された第12回年次大会の大会発表賞の発表と表彰、および同大会で授賞式が執り行われた学会賞ならびに論文賞のご講演が、プログラムに沿って滞りなく行われました。

まず、繁桝算男理事長から学会を代表してのご挨拶と林 規生事務局長からの表彰制度のご紹介があり、発表賞の発表ならびに受賞者の表彰が行われました。今回は以下の4組の受賞者に繁桝算男理事長より表彰状が授与されました。

発表賞受賞者
セッション名 発表者(敬称略) 発表タイトル
一般セッション8
項目反応理論2
宇都雅輝(長岡技術科学大学)
植野真臣(電気通信大学)
ピアアセスメントにおける階層ベイズ項目反応モデル
一般セッション1
教育測定
寺尾尚大(名古屋大学)
安永和央(東京大学・日本学術振興会)
石井秀宗(名古屋大学)
能力別に見た錯乱枝の効果に関する検討―英語文章読解テストを用いて―
一般セッション2
大学入試・大学教育
大津起夫(大学入試センター) 標準化英語試験とセンター試験英語科目得点との関係分析
一般セッション2
大学入試・大学教育
吉村 宰(長崎大学) 学部新設にともなう入試設計にテストの専門家が関与した事例

次に、学会賞を受賞された南風原朝和先生(東京大学)から「IRT尺度の等化:1980-2014」のタイトルでご講演をいただきました。南風原先生から最初に2値データへ適用するロジスティックモデルの基本概念に関するご説明があり、続いて、等化の必要性、ご自身が1980年に提案された項目特性曲線を用いる等化法とStocking & Lordが1983年に発表したテスト特性曲線を用いる等化法について、特に2つの方法の基本的な相違を最新の研究成果に基づいて解説していただきました。さらに、アイオワ大学へ留学されたご経験から、特に若い大学院生への貴重なご助言をいただくことができました。

続いて、論文賞を受賞された内田照久先生(大学入試センター)には「18歳人口減少期のセンター試験の出願状況の年次推移と地域特性-志願者の2層構造化と出願行動の地域特性-」のタイトルでご講演をいただきました。内田先生には1990年以降の大学入試センター試験の出願状況に関して、年次推移や地域別の特徴などについて緻密な分析によって始めてわかる興味深い事実をご講演いただきました。例えば、リーマンショックによって高校生の地方回帰が始まったと言われましたが、実は、それ以前から地方回帰が始まっていたことが、分析結果から明瞭に読み取ることができました。

後半の部では、「項目反応理論を用いたテスト運用の実際」のタイトルで加藤健太郎先生(ベネッセ教育総合研究所)・山田剛史先生(岡山大学)・川端一光先生(明治学院大学)によるワークショップを開催いたしました。最初に山田先生には、項目反応理論を用いたテスト運用の導入として、理論の基礎的概念についてご説明いただきました。続いて、川端先生には、大きなテストプールを構築する際に必須となる等化法について、メリットとデメリットを含めた実践的かつ実際的な方法についてご説明いただきました。さらに、加藤先生には、大きな項目プールから狙い通りの難易度と精度を持つ複数のテストを自動的に構成する方法について、具体的に説明していただきました。

記念講演とワークショップを通して73名の方にご参加いただき、盛況のうちに終えることが出来ました。

報告内容(PDFファイル)
内田照久先生
大学入試センター
18歳人口減少期のセンター試験の出願状況の年次推移と地域特性-志願者の2層構造化と出願行動の地域特性-
山田剛史先生
岡山大学
項目反応理論を用いたテスト運用の実際―導入
川端一光先生
明治学院大学
項目反応理論を用いたテスト運用の実際―等化
加藤健太郎先生
ベネッセ教育総合研究所
項目反応理論を用いたテスト運用の実際―テスト構成