第6回講演会

トップ>イベント>講演会>第6回講演会

第6回「日本テスト学会賞」記念講演会およびワークショップ
開催報告

研究会担当理事:椎名久美子(大学入試センター)
小方博之(成蹊大学)
荘島宏二郎(大学入試センター)

今回の記念講演会は、12月8日の午後1時から、成蹊大学8号館101室において開始されました。
前半の部では、大会発表賞の発表と表彰、および8月に東京医科歯科大学で開催された第10回年次大会で授賞式が執り行われました学会賞ならびに論文賞のご講演が、プログラムに沿って滞りなく行われました。
まず、表彰選考委員会を代表して村木英治先生から表彰制度の紹介がありました。そのあと、学会賞の受賞者と論文賞の受賞者及び論文タイトルの紹介がありました。引き続き、発表賞の発表ならび授賞理由の紹介があり、発表賞の表彰式が行われ、以下の5組の受賞者に柳井晴夫理事長より表彰状が授与されました。

発表賞受賞者
セッション名 発表者(敬称略) 発表タイトル
一般セッション1
テスト評価①
若林昌子(知的財産教育協会)
杉光一成(知的財産教育協会)
わが国の公的試験の試験問題の「公開」状況とその分析
一般セッション1
テスト評価①
阿部 優(株式会社リクルート)
坂本亜沙美(株式会社リクルート)
内藤 淳(株式会社リクルート)
採用場面における適性検査のフェイキング回答に関する研究
―検出手法の有効性及び質問形式による耐性の検討―
一般セッション2
IRT
萩原康仁(国立教育政策研究所) カリキュラムの被覆状況を考慮したTIMSSデータのDIF検出の一分析
―中学校第2学年理科の物理領域を例として―
一般セッション6
CBT
高木輝彦(電気通信大学大学院)
高木正則(岩手県立大学)
勅使河原可海(創価大学大学院)
植野真臣(電気通信大学大学院)
eテスティングにおけるLDAを用いた項目間類似度の自動推定手法
一般セッション8
統計モデル・テスト理論②
呉 春来(教育測定研究所)
前川眞一(東京工業大学大学院)
小林夏子(教育測定研究所)
林 規生(教育測定研究所)
並列型MCMCによる多次元IRTモデルのパラメータ推定について

次に、学会賞を受賞されました前川眞一先生から「項目反応理論に関するいくつかの話題」というタイトルでご講演をいただきました。前川先生の長年にわたるご研究の中から、多項分布の確率の推定、順序カテゴリの取り扱い、重み付き得点からのθの推定、独立に推定された項目パラメタの等化についての理論を取り上げてお話いただきました。テスト現場を支える土台となる理論について、限られた時間の中で密度の濃いご講演をいただきました。
続いて、論文賞を受賞されました菊地賢一先生から「高得点科目の採用による選抜における合格者の学力の評価について」 のタイトルでご講演をいただきました。素点での選抜で発生しうる問題を取り上げ、科目間の相関係数や選抜倍率の違いによるシミュレーション結果やその解釈を示していただきました。テスト学会の会員が直面する可能性の高い問題であり、今後も発展性を感じさせるご発表でした。
後半の部のワークショップでは、成蹊大学の岩崎学先生から「英語能力テストの分析にまつわる統計解析手法」のタイトルでご講演をいただきました。複数回のテスト得点差について、平均への回帰から始まり、統計的因果推論に至るまで、統計学の様々な手法を駆使した実践的な分析結果とその解釈を熱く語っていただきました。
今回の記念講演会の参加者は57名で、理論と実践の両面から様々な示唆を得ることが出来たという満足感の中で、閉会しました。

報告内容(PDFファイル)
前川眞一
東京工業大学大学院
項目反応理論に関するいくつかの話題
菊地賢一
東邦大学
高得点科目の採用による選抜における合格者の学力の評価について
岩崎 学
成蹊大学
英語能力テストの分析にまつわる統計解析手法