第3回研究会

トップ>イベント>研究会>第3回研究会

第3回事例研究会報告

企画:繁桝算男

第3回目の事例研究会は、やや従来とは異なるシンポジウムのスタイルにいたしました。理事会で、テストスタンダードを作るべきだということになり、そのための委員会が発足いたしました。諸外国では、テストスタンダードがあることは当たり前であり、また、日本でも各学会で、倫理綱領があります。
このような事情自体は、副次的な理由であり、委員会発足の趣旨に述べられているとおり、今日の日本でテストスタンダードを必要とする多くの重要な理由があります。このことは会員の皆様もよく理解していただいているようで、直接的に役に立つ知識の伝達ではないにもかかわらず、この企画に対して、100名以上の方が出席されました。
最初の話題提供者は大学入試センターの椎名久美子氏で、海外諸学会のテストスタンダードを広く調べ、(1)スタンダードの目的、(2)テストが目指すもの、(3)想定する読者、(4)スタンダードを構成する事項などそれぞれについて、整理されました。 次に、人事院の菊地敦子氏から、人事院の国家公務員試験にかかわる長年のご経験から、その原則、信頼性、妥当性などに関するデータ、また、将来への展望について講演されました。
次に、ラーニングアーキテクチャーの宮沢修二氏からは、e-learning時代にふさわしいテストスタンダードを構想する上で必要な背景や知識が報告され、テストの新たな可能性とテストスタンダードとの関連について講演されました。
また、神戸大学の高橋潔氏からは、産業場面におけるテストの活用の現状が報告され、公平性をどのように考えるべきかについて考察されました。
最後に、池田央理事長が、4人の話題提供者の講演を総括され、かつ、他の講演で触れられなかった海外の状況などを説明されました。
以上の後、全体討論になりました。多くの方が意見をお持ちで、かつ、スタンダード委員会としても意見を広く伺いたいテーマであり、予定していた1時間の討論時間を30分も延長いたしました。それでもご意見を披露いただく機会のなかった方もあると思われます。以上の講演の発表資料の一部は、HPに掲載されますので、ご意見のある方はメールなどでぜひお伝えください。
テストスタンダードの最初の草案は8月には完成の予定です。ぜひ皆様のご意見を伺いながら完成させたいと思います。

報告内容(PDFファイル)
繁桝算男
東京大学大学院総合文化研究科・教養学部教授
日本版テストスタンダードの構想を巡って
椎名久美子
大学入試センター 適性試験研究部門 助教授
海外諸学会のテストスタンダード
宮沢修二
ラーニングアーキテクチャー研究所 代表取締役社長
e-learning時代のテストスタンダード
菊地敦子
人事院人材局 試験審議官
公務員試験からみたテストスタンダード
高橋 潔
神戸大学大学院経営学研究科 助教授
企業における評価の公正性とテストスタンダード